独占インタビュー・阿部勇樹【悲願のタイトルへの決意】<br />――「もう失速とは言わせない、別の言葉を言わせたい」 |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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独占インタビュー・阿部勇樹【悲願のタイトルへの決意】
――「もう失速とは言わせない、別の言葉を言わせたい」

最終回! 悲願のJ1王者へ。阿部勇樹が「赤」に染まって10年目にして抱く思い、独占インタビュー

【第3回 このチャンスを逃すつもりはない】

 

 チャンピオンシップ決勝、鹿島アントラーズ戦。
 アウェイで迎えた重要な一戦、阿部勇樹は決勝ゴールとなるPKを決めた。1対0の勝利。次戦、ホーム・埼玉スタジアムで行われる決戦に向け、大きなアドバンテージを得たように見えるが、阿部はそんな質問に対しても簡単に首を縦に振らない。
「皆さんはそう言うかもしれないですけど、まだ決まってないですから。次、勝たなければ意味がないので」
「まだ何も決まっていない」――この言葉を繰り返した阿部は、ゴールの喜びも、勝利の笑顔も見せない。
 泣いても笑っても12月3日。すべてはここで決まる。
 レッズの思いを背負い続けた阿部勇樹の独占インタビュー、最終回。

■負けた経験は、成長の機会でもある

――昨年、一昨年とチームが終盤で調子を落としたときなど、柏木陽介選手などに声を掛けたことがあるとか。自分も悔しい中でそういうところまで気配りをするのはしんどかったりすることはないですか。

阿部 まあ、悔しいですよ。でも、さっきも言いましたけど、あの年代の選手が賑やかじゃないと、僕も不思議な感じなんですよ(笑)。なんかシーンとして気持ち悪いなってなるから、僕としては「いつもの彼らでいてほしい」って思う。
 それに、こういうことを経験してまた強くなる、いい機会だとも思っている。それっていろんなプレッシャーの中で戦っているチームでしか経験できないことじゃないですか。だからそれを感じられることというのは、いいことでもあると思っています。最終的に勝ててないからサポーターの方には申し訳ないですが。

――なるほど。成長を促す機会でもある、と。

阿部 はい。考えすぎはよくないと思うけど、そういうことを経て、どうしたらいいかって考えることはすごくいいことだと思うから。うちのチームには本当にいい選手が多いから、そうやって考えて成長してどんどん日本代表に入ってやっていかなきゃいけない、いや、いけると思っています。

――これはもう、勝手な推測でしかないんですけど『泣いた日』(阿部勇樹の著書・2011年刊行)を書いた頃の阿部さんだったら、プレーをしなきゃいけない上に、こんなに考えて、プレッシャーもあってキャプテンで……と、もうしんどくて悩みまくってしまうんじゃないかと(笑)。

阿部 いやあ、どうなんですかね。しんどい……しんどいかなあ(笑)。あんまりそこまで思ってないですよ。
 それだったら若いときにジェフでキャプテンをやるほうがしんどかったかな(笑)。三年目でキャプテンって言われて、年上の選手ばかりでしたし、その先輩からのプレッシャーもすごかったですから(笑)。いまはそういう経験があった上でやれているから、大丈夫なのかもしれないですね。

――それは確かに(笑)。「キャプテンなんだから休みの交渉をオシムさんにして来てくれ」って頼まれたりしていましたもんね(笑)。

阿部 そう。それで行って怒られて(笑)。まあ、あのときオシムさんに怒られたことも、僕にとってはすごく良かったことですけどね。

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